いつかどこかで役に立つ!表面処理の基礎知識

 

建築金物業界では、一般的に「めっき」や「塗装」と呼ばれている表面処理。

素地鉄をそのままにしておくと、条件が悪ければ数十分で錆が発生します。
錆がでてしまった鉄は本来の性能を発揮できなくなり、さらに錆はどんどん進行・・・

これを食い止める手段として施すのが、表面処理

 

いつもはそこまで気にしてなかったあなたも!
いつかどこかできっと役に立つハズ!

構造金物・ビスに使われている主な表面処理を紹介します♪

 

 

  表面処理とは?

表面処理とは、製造工程の最後に行われる、強度や耐久性を高めるために材料の表面に施す加工のこと。
建築ねじ業界では、一般的に「めっき」や「塗装」と呼ばれていますね。

液に漬けることで、酸化しやすい金属など材料の表面に金属の薄い膜をつくります。
材料の特性や製品の使用目的に応じて、亜鉛、合金、クロメートなどの多様な処理が施されています。

 

 

  表面処理の役割

めっきなどの表面処理をすることによって、
・製品の外観をきれいに仕上げる
・防錆性
・耐摩耗性
・密着性
・電気伝導性
などなど・・・
さまざまな機能付与・向上することができます!

金属は素地のまま製品になることはまれです。
そのほとんどが、見た目の美しさと表面保護を目的として塗装をします。
この塗装を長く美しい状態に保つために、表面処理が不可欠というわけです。

 

 

  主な表面処理の特長

建築金物やビスに使われている主な表面処理をご紹介!

 

クロメートめっき

 (Z羽子板ボルトSB・F2)

亜鉛めっき後化成処理によって黄色の皮膜を付けます。
皮膜は比較的厚く、亜鉛表面の耐食性が増し外観の美しさが備わります。
「有色クロメート」「黄色クロメート」と呼ばれ、弱電関係・自動車機械装置などで多く使われています。
クロメート皮膜は、黄色または黄褐色に近いほど耐食性が良くなります。
(色の薄いものや緑を多く含んだものは幾分耐食性が劣ります)
※六価クロムが含まれるため、RoHS指令には不可です。

 

ユニクロめっき

 (ユニクロ木捻子)

鉄素地に亜鉛めっきを施し、化成処理によって表面に青色の皮膜をつけます。
クロメート処理後、カセイソーダに浸漬します。
「青色クロメート」「光沢クロメート」と呼ばれています。
耐食性は有色クロメートより劣ります。
※六価クロムが含まれるため、RoHS指令には不可です。

 

溶融亜鉛めっき

 (Zホールダウン金物 S-HD)

「ドブめっき」「天ぷらめっき」とも呼ばれ、溶融した亜鉛の中に漬けて付着させます。
めっき層と素地との密着性が高く、曲げ・衝撃・摩擦などで剥離することはありません。
高い防錆効果によって大気中、土中、コンクリート中でも優れた耐食性を有します。
コストの割に優れた耐食性がありますが、めっき層はかなり厚く表面はでこぼこしているため、雌ねじはオーバータップにしておく必要があります。

 

アルミ合金めっき

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アルミニウムを含んだ溶融亜めっき。
高耐食性を有しています。
海岸近傍の腐食環境地域の表面処理に適しています。

 

スーパーダイマ®

 (タナカ フラットプレートSD)

従来の亜鉛めっきに約11%のアルミニウム、約3%のマグネシウム、それに微量のシリコンを添加した新しい高耐食性メッキ鋼板。
添加元素の複合効果によって耐食性を高めます。
耐アルカリ性もバツグン!
溶融亜鉛めっきの15倍以上、溶融亜鉛5%アルミニウム合金めっきの5~8倍の耐食性!

 

ダクロダイズド®

 (モト・コーポレーション PANETAL)

主成分の亜鉛とクエン酸を含んだ処理液に漬けて塗装した後、加熱して素地に焼き付けます。
電気亜鉛めっきと比べて、耐食性・耐熱性に優れています。
工程中、酸洗い工程を行なわないので水素脆性の心配はありません。
※六価クロムが含まれるため、RoHS指令には不可です。

 

ラスパート

 (モト・コーポレーション 石膏ボードビスラスパート)

下地に電気亜鉛メッキを貼り、密着性を良くする化成処理を行います。
さらにセラミック材を塗装した後、加熱し素地に焼き付けます。
耐食、耐熱性、さらには耐酸性、耐アルカリ性に優れているため、屋外用品に適しています。
※六価クロムが含まれるため、RoHS指令には不可です。

 

ジオメット

 (天野製作所 ビックス石膏ボードビス)

耐熱性・耐食性に優れ、水素脆性の心配がない薄膜防錆処理です。
有害性のある六価クロムは含有していません。
ダクロダイズドの代替として使用されます。

 

ZAM®

 (BXカネシン リブコーナー)

亜鉛-アルミウム6%-マグネシウム3%のめっき層をもつ、新しい溶融亜鉛めっき鋼板です。
耐食性が従来の溶融亜鉛めっき鋼板と比べて10~20倍、溶融亜鉛-5%アルミ鋼板に比べ5~8倍優れています。
長寿命化が図れる・少ない付着量で高耐食性が得られるので、省資源対応型の製品です。

 

パシペート処理

 (山喜産業 クイックビス薄板用)

ステンレスが錆びにくいのは、ステンレス中に含まれるクロムが酸素を結合して表面に酸化クロム皮膜(不動態皮膜)を作るから。
ステンレス素材を希硝酸に浸すことで、この不動態皮膜を化学的に作らせる処理のことをパシペート処理を言います。

 

スーパーパシペート処理

 (アムハード小西 錐込隊長)

超耐食表面処理技術SP処理(スーパーパシペイション)は、独自の表面処理技術によって耐食層を生成させ、さらに安定強化を図る画期的なステンレス表面改質処理技術です。
特に、従来錆びやすかったマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS410)については、耐食性が従来の約20倍(塩水噴霧試験1,000時間以上)という驚くべき性能!

 

エコート®WH処理

 (タナカ ビスどめホールダウンU)

亜鉛系特殊無機被膜(ダクロタイズド®やジオメット®等の皮膜)と、特殊樹脂皮膜の2層構造。
亜鉛系特殊無機被膜の持つ防錆防食性能に加え、酸・アルカリ等に対する耐薬品性、ガルバニック腐食防止性、施工キズに対する防錆防食性能を向上!
環境にやさしい高耐久性表面処理です。

 

デュラルコート

 (カナイ ハイブリッドⅡ丸座金)

カナイが開発したノンクロム防錆処理。
亜鉛めっきと有機皮膜で構成される、膜厚15μm程度の複合皮膜。
亜鉛の高い「犠牲防食性」を保有するとともに、有機皮膜による「耐電食性能」および「耐酸・アルカリ性能」を持っています。
また、有害物質となるクロムを含みません。
「長寿命化住宅仕様書作成委員会」より、長寿命化住宅に最適との評価!

 

プロイズ

 (BXカネシン PZ六角ボルト M12)

金属のメッキに現在も使われる六価クロムなどの有害物質を使わない、三層皮膜による高い防錆・防腐性能を発揮するBXカネシン独自の金属表面処理技術。
錆の原因となる物質を化学的に除去、各層の密着性を高め耐食性を向上させ、木酸や薬品に強く、他の金属との接触による腐食を抑制します。

 

 


今回紹介したものは、表面処理の中でも一部分ですが、建築金物だけみてもこれだけ種類があります!
メーカー独自で開発したものや、人体や環境への影響を考慮したものなど、現在もどんどん開発が進められている分野です!

ちょっとした知識があれば、使う環境に合わせて錆びにくさや色味などで、金物選ぶ幅が広がるかもしれません(゚ε゚*)
ぜひ頭の隅に置いてご活用ください♪

 

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